デジタルマーケティング業界とは|業界研究入門

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デジタルマーケティング業界とは

モノやサービスをデジタル媒体を介して買ってもらうために存在している

デジタルマーケティングは、私たちの生活スタイルの変化から生まれました。

たとえば、みなさんはスマートフォンで「新しい靴が欲しいな」と思って検索したことがありませんか?その時、こんな流れになりませんでしたか?

  1. Googleで「おすすめのスニーカー」と検索する
  2. 興味のある広告やサイトをクリックする
  3. 商品の詳細を確認する
  4. 「買おうかな」と迷う
  5. InstagramやXで口コミを確認する
  6. 最終的に購入を決める

実は、この一連の流れの裏側で、デジタルマーケティング業界が働いているんです。

どういうことか。それぞれの場面で、様々な仕掛けが施されているんです。

  • 検索した時に上位に表示される → SEO対策
  • 魅力的な広告が表示される → デジタル広告運用
  • 商品ページが見やすい → UX/UI改善
  • お得なクーポンがメールで届く → マーケティングオートメーション
  • SNSで評判を目にする → SNSマーケティング

つまり、「お客様の欲しい!」という気持ちを、実際の「購入」までスムーズにつなげる。これがデジタルマーケティング業界の仕事なんです。

昔は、お店に行って、実物を見て、店員さんと話して、それで購入を決めていましたよね。でも今は、スマートフォン一つで、いつでもどこでも買い物ができる。この「デジタルの買い物」をより便利に、より魅力的にする。それがこの業界の使命なんです。

デジタルマーケティング業界のビジネスモデル

デジタルマーケティング業界でのお金の稼ぎ方は、大きく分けると7つの方法があります。

ビジネスモデル形態説明
受託制作納品Webサイトやランディングページ、動画コンテンツなどの制作を請け負うモデルです。プロジェクト単位での契約となり、制作物の規模や複雑さに応じて料金が設定されます。
コンサルティングフィー戦略立案から実行支援まで、専門的知見を提供するサービスです。例えば、デジタルマーケティング戦略の策定などが含まれます。月額での顧問契約や、プロジェクト単位での契約形態を取ります。
ツール・システムの利用料マーケティングオートメーション(MA)やCRMなど、専門的なツールの提供です。初期費用と月額利用料を組み合わせたサブスクリプション形式の料金体系が多く見られます。カスタマイズや導入支援なども含まれることがあります。
運用代行SNSアカウントの管理や、Webサイトの更新、メールマガジンの配信など、実務的な業務を代行するサービスです。特に、専門人材の採用が難しい中小企業様からのニーズが高く、月額での継続契約が一般的です。
成果報酬型リスティング広告やSNS広告の運用代行において、広告費に対する一定割合を手数料として受け取るモデルです。広告効果に応じた報酬体系となるため、クライアント企業にとってもわかりやすい形態です。

これらのサービスは単独で提供されることは少なく、「組み合わせて」提供されることが多い傾向にあります。例えば、コンサルティングをしながら、その実行も代行する。ツールを提供しながら、使い方の研修も行うといった具合です。

主な提供サービス・業務内容

それでは、デジタルマーケティングとは具体的に何をしているのでしょうか? 代表的なサービス領域について見てみましょう。

ポイントは、これらのサービスは全て「お客様を増やす」「売上を伸ばす」という同じ目標に向かっているということです。

  • デジタル広告運用
    • いわば「インターネット版のテレビCM」です。GoogleやYahoo!、SNSに広告を出して、見込み顧客を集める方法です。面白いのは、テレビCMと違って、誰がいつ見て、何人が反応したのか、すべて数字で分かるんです。だから、効果が出ない広告はすぐに改善できるのが大きな特徴です。
  • SEO/MEO対策
    • 要するに「検索されやすくする」取り組みです。SEOはGoogleなどの検索エンジン対策、MEOは「Googleマップ」などの地図検索対策です。例えば、「近くの美味しいラーメン屋」で検索したとき、上位に表示されるようにする。そういった工夫をする仕事です。
  • SNSマーケティング
    • 「口コミを活用する」マーケティングです。InstagramやX(旧Twitter)、FacebookなどのSNSを使って、商品やサービスの魅力を伝える。特に若い世代へのアプローチに効果的です。
  • コンテンツマーケティング
    • 「役立つ情報を提供して、お客様を集める」方法です。例えば、料理レシピサイトを運営している会社が、美味しいレシピを無料で公開する。そこに訪れた人に、関連する調理器具を販売するといった手法を指します。
  • マーケティングオートメーション
    • 「営業活動を自動化する」仕組みです。例えば、メールマガジンの配信を自動化したり、顧客の行動に合わせて最適なタイミングでアプローチしたり。人手をかけずに、効率的に営業活動を行えるようにする活動です。
  • データ分析・活用支援
    • 「お客様の行動を分析して、マーケティングに活かす」取り組みです。例えば、どんな商品がよく売れているのか、どんな広告が効果的なのか。そういったデータを分析して、次の施策に活かしていきます。
  • UX/UI改善
    • 「使いやすさを向上させる」取り組みです。UXは「ユーザー体験」、UIは「見た目や操作性」のこと。例えば、ECサイトでの商品の探しやすさを改善したり、スマートフォンでの操作性を向上させたり。お客様が「使いやすい」と感じる仕組みを作ります。

主要プレイヤーと代表的な企業

デジタルマーケティング業界の主要プレイヤーについて、それぞれの特徴と役割を解説していきましょう。

大手広告代理店

長年の実績とクライアントネットワークを強みとしています。テレビCMなどの従来型メディアでの強みを活かしながら、デジタル領域への展開を進めています。独自の調査データや消費者インサイトの蓄積が豊富で、統合的なマーケティング戦略を提供できるのが特徴です。

総合デジタルエージェンシー

広告代理店系

親会社の顧客基盤を活用しつつ、デジタル専門の知見を提供しています。従来型メディアとデジタルを組み合わせた統合的なアプローチが強みです。

デジタルネイティブ企業

インターネット黎明期からデジタルマーケティングを手がけてきた企業群です。技術力とスピード感が強みで、自社メディアやプラットフォームを持つケースも多いです。

コンサルティングファーム系

経営戦略とデジタルマーケティングを結びつけたアプローチで、グローバルな知見とベストプラクティスの活用が特徴です。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)との親和性が高い企業群です。

メディアプラットフォーム事業者

メディアレップ

媒体の広告枠を集めて、広告主に販売するプラットフォームの運営企業です。広告代理店にとっては広告の買付先となります。

アフィリエイト

広告主とWebサイトに広告を掲載したいメディア運営者(アフィリエイター)をつなぐプラットフォームを運営する企業です。

アドテクノロジー

インターネット広告の効果を最大化するための技術とプラットフォームを提供する企業群です。

専門特化型企業

手法ごとに専門特化した企業が存在しますが、ここでは3つを主に取り上げます。

SEO専門会社

検索エンジン最適化に特化したサービスを提供しています。Google等の検索アルゴリズムの変更に迅速に対応し、コンテンツマーケティングも担うことが多いです。

Web制作専門会社

Webサイトやアプリの設計・開発を行う会社です。。UX/UIデザインに強い会社から、CMS構築やシステム連携に強い会社まで幅広く存在します。

SNSマーケティング専門会社

SNSアカウントの運用代行や投稿制作を主軸とし、インフルエンサーマーケティングの企画・実施やソーシャルリスニング、トレンド分析を行います。

マーケティングツールベンダー

デジタルマーケティングに欠かせないMA(マーケティングオートメーション)ツールや、CRMシステムの開発・提供を行っている企業です。

デジタルマーケティング業界の将来性と課題は?

まず、この業界の将来性について見ていきましょう。

デジタルマーケティング業界は、大きな可能性を秘めている

実は、この業界には3つの大きな追い風が吹いているんです。

  • デジタル化の加速
    • コロナ禍をきっかけに、お店や企業のデジタル化が一気に進みました。例えば、今まで頑なにネット販売をしなかった老舗の和菓子屋さんが、ECサイトを始めたり。こういった動きは、もう後戻りすることはないでしょう。
  • AIの進化
    • ChatGPTをご存知の方も多いと思います。こういった技術を使えば、一人一人のお客様に合わせた広告文章を、瞬時に大量に作れるようになる。そんな時代がすぐそこまで来ているんです。
  • データ活用の深化
    • 私たちの行動データを分析して、「この人にはこの商品が合っているかも」というレコメンドが、どんどん賢くなっていく。まさに「一人一人に寄り添うマーケティング」が可能になってきているんです。

デジタルマーケティングはまさに変化の真っ只中

3つの大きな課題を見ていきましょう。

  • 人材不足
    • デジタルマーケティングの技術は日々進化しています。でも、それを使いこなせる人材が圧倒的に足りない。特に、データを分析して戦略を立てられる人材の不足が深刻なんです。
  • プライバシーの問題
    • 確かに、私たちの行動データを分析すれば、より良いサービスが提供できます。でも、どこまでデータを取って良いの?という議論も出てきています。最近のGoogleの規制強化は、まさにこの問題を表しているんですね。
  • 効果測定の難しさ
    • デジタル広告を出して、実際に何人のお客様が買ってくれたのか。これを正確に測るのが、実は意外と難しい。例えば、スマートフォンで見た広告の商品を、後でパソコンで買う。そういった動きを高度に把握するのに各企業は四苦八苦しています。

データに騙された日
あるアパレルECサイトの話。サイトの分析データを見てたら、スマホユーザーの購入率が異常に低いことに気づいた。「よし、スマホ画面を最適化だ!」って大騒ぎで改修したんだけど…実は若いユーザーが「スマホで商品チェックして、家のPCで購入」っていう行動パターンを取ってただけ。数字は嘘つかないって言うけど、その解釈は時として人を惑わすんだよね。結局、お客様の生の声を聞いて初めて真実が分かった。

主な職種と働き方はどんなイメージ?

実は、この業界には様々な専門家が集まって、一つのプロジェクトを進めているんです。

  • コンサルタント
    • クライアント企業の課題を理解し、どんなを戦い方をするのか、全体の方向性を決めます。クライアントのビジネス成長を牽引する船頭のような役割です。
  • 営業
    • クライアントと自社の専門家たちをつなぐ橋渡し役です。「前回のキャンペーンの手応え、いかがでしたか?」デジタルマーケティングは、継続的なパートナーシップが必要だからこそ、営業担当の存在が重要になってくるんですね。
  • プランナー
    • 全体の戦略を練り、それぞれの施策をどう組み合わせるか考えます。ブランドの価値を最大化するにはどうすればいいか。無数の選択肢から最適解を練っていきます。
  • 広告運用者
    • 実際に広告を出稿し、その効果を見ながら、日々調整を行います。「若い層の反応が悪いな、別のアプローチを試してみよう」このように、常に最適な運用を目指して努力しています。
  • クリエイティブディレクター・デザイナー
    • 商品やサービスの価値をどう伝えるか、クリエイティブの観点から考えます。「うーん、これって表現の問題っていうより、価値の伝え方がイマイチなんじゃないですか?」様々なクリエイターと連携しながら、ユーザー体験を良いものに突き詰めていきます。
  • データアナリスト
    • 数字を基に、何が起きているのかを分析します。「ヒートマップを見ると、商品詳細ページでの滞在時間が短い。価格を見た瞬間に離れていく傾向がありますね…」こういった事実を、データから読み解いていくんです。
  • エンジニア
    • 裏方ではありますが、とても重要な仕事。システムの構築や管理がないと、他の人たちの仕事も成り立ちません。

デジタルマーケティング業界に向いている人の特徴

デジタルマーケティング業界で働いている人は、どんなことを大事にしているのでしょう?

この業界で働く人々の特徴と価値観を覗いてみましょう。

データドリブンな意思決定

「なんとなく」や「感覚的に」という判断は通用しません。すべての施策が数字とデータに基づいています。

「このデザイン、かわいいから人気出るかも!」…こんな感覚的な判断は通用しないんです。

スピード重視

この業界の人たちは「明日じゃ遅い」というくらいの勢いで動きます。なぜでしょう?

インターネットの世界では、トレンドがものすごい速さで変化するんです。今日人気のSNSが、明日には廃れているかもしれない。だから、「様子を見よう」なんて言っている暇はないんです。

失敗を恐れない

普通、仕事で失敗するのは怖いですよね。でもこの業界の人たちは違います。

「小さく試して、だめなら変えればいい」。すぐに更新可能なインターネット特有の面白い考え方ですよね。

継続的な学習・改善

例えば、ある会社のSNS運用を担当しているとします。

毎日投稿して、反応を見て、分析して、また改善して…。効果が良ければ予算を増やす。効果が悪ければすぐに内容を変える。この地道な繰り返しが、実は大切なんです。

デジタルマーケティング業界で働く魅力

実は、この業界には独特の面白さがあるんです。それは「変化を楽しむ」という文化です。

「明日は何が来るかわからない」って不安と、「だからこそ面白い」っていう好奇心を、両方抱えながら働いてる人が多いと感じます。

トレンドの最前線

常に新しい手法やツールが登場する。世の中の流行りものが、必ず仕事に関係してくる。

だから「これは仕事の研究です!」と言いながら、実は自分も楽しんでいる。そんな人たちが多いんです。

理系と文系の混ざり具合

数字オタクとド文系のコピーライターが、同じ職場で楽しく働いてる不思議。違う言語を話す人たちが、お互いを理解し合いながら、一つの目標に向かって進んでいく。そんな光景があちこちで見られるんです。

即座に結果が見える

新しい広告を出稿した翌日には、何人が見て、何人が反応したのか、すべて数字で分かる。シビアな世界ですが、だからこそ、成功した時の喜びも大きいんです。

まとめ

この業界の人たちは、「データ」を見ているようで、実は「人の心」を見ているんです。

例えば、あるWEBサイトの分析をしているとき。
「このページで多くの人が離脱している…なぜだろう?」 「あ、ここで商品の良さが伝わっていないんじゃないか!」
このように、データの中に、人々の行動や気持ちの変化を見つけた時の「あっ!」という発見がある。

数字とにらめっこしてる時間が長いけど、結局は人の心を動かす仕事なんです。

デジタルマーケティング業界は、確かに変化の激しい世界です。でも、その変化を楽しみながら、人々の心を動かしていく。

そんな魅力的な仕事だということが、お分かりいただけたでしょうか。

この記事の執筆者
みじん

1992年生まれ。死ぬまでにあらゆる仕事を知りたいと思っている職業マニア。

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